デュッセルドルフ在住時、アパートの2019年分共益費精算でとんでもなく高額な追加支払いを請求された話【共益費の内訳を一挙公開】
こんにちは、2018年からデュッセルドルフに住んでいるHirofumiです。
タイトルが紛らわしくてアレなんですが、本記事を投稿する2021年2月28日時点でも変わらずデュッセルドルフに住んでいます。
夏時間まであと1ヶ月ですねえ、待ち遠しい!
さて、タイトルの通り、2019年の共益費の精算が2021年の年明けにやってきました。そもそも1年以上経ってから来るのにも驚きですが、その額がとんでもなく高額だったのでご紹介します。
デュッセルドルフに限らずドイツでアパート又は家を借りる際には注意しなければならない点もご紹介しますので、ぜひぜひ本記事も最後までお付き合い下さい。
始めます。
そもそも共益費の精算とは
それ!共益費を精算するってどういう意味だ?
日本で、例えばマンションの共益費などは毎月一定額を支払うだけで、それ以上請求されたり或いは返金されたりはありませんが、ドイツでは電気代と同じく「見込み額」を毎月払い込んで年に一度その大精算大会があります。
参考記事:デュッセルドルフ在住時に年に1度やってくる電気代精算の手続き方法【2019/2020完全編】
参考記事:デュッセルドルフ在住時に年に1度やってくる電気代精算の手続き記録【2020/2021完全編】
なるほど〜、しかし2019年分の精算が来るの遅すぎじゃない?
遅すぎですよね〜。電気代の精算大会は年が明けて1月中には電力会社から連絡が来て、2月中には完了します。気になって周りに聞いてみたんですが、これ、大家さんや大家さんが委託している管理会社によってかなりばらつきがあるみたいです。マメな大家さんであれば翌年3月から6月頃に案内を送ってくるそうですが、今回の私の様に1年以上経ってから来ることもよくある話らしいです。
・1年以上経ってから案内が来ることもよくある話らしい
我が家の2019年分共益費の精算額
アホみたいに高額でしたねえ・・・
いきなり公開しましょう。
これ、ドイツではドットとピリオドが逆なので分かりづらいですが、なんと「2,424.12€の追加支払い」です。これを見た瞬間は意味がよく分かりませんでした。円換算で30万円超の追加支払いです。
何故ここまで高額なのか、そもそもこれは正しいのか
ここまで高額な請求が来ると、もはや本当に合っているのか不安になってきます。そこでまずは内訳を一つ一つチェックしてみました。
ざざっと見てみた感じ、下から2番目の「Heizkosten」が異常に高いのが見て取れます。これらをGoogle先生の力を借りて訳してみました。
薄緑色が元のドイツ語、薄青色がその訳です。「ハウスマイスター代」から「固定資産税」まで色々な項目があって面白いです。さらに「世帯数で一律割り勘」されている項目もあれば、「実費精算」されている項目もある事に気付きます。また、どうも「Verteilerschlüssel」が「予算」の様な位置付けで、「Betrag」が「実際にかかった費用」である様です。これらを以下に整理します。
項目 | 分配方法 | 予算合計 | 世帯別予算 | 金額 | 世帯別金額 |
ハウスマイスター代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 5,850.00 | 480.29 |
清掃代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 2,623.00 | 215.35 |
冬季の整備代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 300.00 | 24.63 |
外装の整備代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 779.58 | 64.00 |
その他整備代 | 世帯数で等分② | 6,000.00 | 1,000.00 | 100.00 | 16.67 |
建物保険 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 2,530.38 | 207.74 |
賠償責任保険 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 99.15 | 8.14 |
ガラス保険 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 182.52 | 14.98 |
ゴミ代、道路整備代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 5,331.60 | 437.72 |
雨水処理代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 485.00 | 39.82 |
飲用水代 | 世帯数で等分② | 6,000.00 | 1,000.00 | 850.00 | 141.67 |
下水処理代 | 世帯数で等分② | 6,000.00 | 1,000.00 | 555.00 | 92.50 |
回線接続代 | 世帯数で等分① | 12,000.00 | 1,000.00 | 185.24 | 15.44 |
排気管清掃代 | 世帯数で等分① | 10,000.00 | 821.00 | 88.00 | 7.22 |
排気管清掃代その他 | 世帯数で等分① | 402.38 | 31.59 | 402.35 | 31.59 |
暖房及び温水代 | 使用量に準じて | 3,347.76 | 2,796.46 | 3,347.76 | 2,796.46 |
固定資産税 | 固定額 | 229.90 | 229.90 | ||
合計 | 23,939.48 | 4,824.12 |
それぞれ凡そ想像できる項目ですが、「固定資産税」が請求されているのが不思議です。日本でもそうですが一般的には所有者に課せられる税金ですよね?もしかしたら私のアパートの契約が「固定資産税を負担する、又は部分的に負担する」内容になっているのかもしれません。それともドイツだと借主が負担する税なのでしょうか?(この辺りは詳しく調べていません)
「世帯数で等分①」は12で割っていて、「世帯数で等分②」は6で割っています。私の借りているアパートは、建物的には12世帯ですが、入り口が2つある故に6×2=12世帯の様なイメージです。ちなみにそれぞれの入り口?でハウスナンバーを持っています。
もうすでに気が付いてはいましたが、暖房及び温水代が2,796.46€とやはり異常に高いです。総額4,824.12€の6割弱も占めています。この暖房及び温水代とは、「ドイツの暖房Heizung」と「シャワー等の温水」のボイラーに使われたガス代の事です。ドイツでは日本語で表現する際には「暖房代」と呼ばれている気がします。
参考記事:ドイツの暖房「Heizung」が暖かくならない時の解決方法
参考記事:ドイツ生活でお湯が出なくなってしまった際の不具合事例と対応方法【Vaillant製ボイラー編】
この「暖房代」が本当に合っているのか確認をする事にしました。
暖房代の詳細を確認
まずは大家さんに問い合わせです。もうストレートに「暖房代が異常に高いんだけど、計測や計算に何か間違いが無いか今一度確認してくれない?」とお願いしました。
そしたら立派なレポートが送られてきたのである
大家さんから送られてきたのは「techem」のレポートでした。以下にコメントと共に示します。
だいたいtechemってなんやねん!
techemとはドイツでは有名なエネルギー測定系の会社です。なんじゃそれ?って思うかもしれませんが、例えばアパートなど一つのボイラーで複数世帯を賄っている場合に、ボイラーの総使用料(ガス代)を各世帯の使用度合いに依って分配するための測定と計算を提供している会社です。ちなみにエネルギー(ガスなど)だけでなく水もやっている様です。
このレポートをじっくり見てみると、まずこれは「暖房代と火災報知器代」の請求書である事が分かります。ちなみに我が家はお隣さんとボイラーを共有しています。共有しているというか、我が家とお隣さんの部屋のオーナーが同じ人であるため、そういう造りになっています。ですのでこのtechemのレポートは「我が家とお隣さんとの分配結果」を示すものになります。
火災報知器のレンタル代とサービス代はたかが知れているので置いておくとして、問題は異様に高いHeizung(セントラルヒーティング )のお代です。計算方法を見てみると、掛かった総額(ガス代)を「Heizungの使用量測定メーター値により分配」している様に見て取れます。
Heizungの使用量測定メーターってなんじゃ?
実は各ラジエータには以下の画像の様なメーターが付いています。これで使用量を測っているのです。しかしこの数値には単位がないため実態は謎なんですが、確か「温度と時間の関数」だった気がします。日本でも話題となる夏のエアコン電気代の様に、付けたり消したりを繰り返すよりも低温で付けっぱなしの方がコストが安くなるという点も考慮されているらしいです。
しかも数値のデータは無線通信で飛ばされるという優れものです。その昔は年に一度この数値を目視で読み取るためにおじさんが家にやって来るのが恒例だった様ですが、今は家に入る事なくデータの収集ができる様です。
ちょっと待って、お隣さんの使用量が少なすぎない?
我が家とお隣さんとの合算値が22,921で、それに対して我が家だけで19,067って83%も占めてるやん!と気付いてしまいました。これについて妻@bonbonと話していて重大な事を思い出しました。
お隣さんって2019年夏頃に引っ越してきたよね(それまで空き家)
お隣さんの前住人が確か2018年末か2019年始には出て行って、そこから半年間ほど空き家になっていたのを思い出しました。と言うことはその期間にボイラーを燃やした燃料代は全て我が家の負担、つまりボイラーが温めて循環させてくれるお湯を我が家だけのために使っていた事になるわけですから、そりゃ2019年は我が家の負担割合が大きくなるよなって納得できます。しかもそれが冬〜夏の期間ですし。
暖房代の妥当性の確認
次は「そもそもこのくらい掛かるものなのか」の確認です。
heizkostenrechner.comという面白いサイトを見つけたので紹介します。ここでは建物の情報や室内の設定温度、また凡その位置情報を入力する事で掛かるコストの概算を知る事ができます。我が家の試算結果を以下に示します。
画像上部が入力内容、グラフ以下が試算結果になります。
なんだかそれっぽい数字が出ていますねえ・・・
Stromとは電気代の意なのでこれは含まずに考えた方が良いのか?とも思いますが、表題が「HEIZKOSTEN BERECHNEN(暖房代の計算)」ですのでこの際含んで考えてみます。またガス代の単価も不明なので表示されたデフォルト値そのままです。エネルギー全体で約30,000kWh掛かると試算されたのですが、この妥当性については経験が無く不明なので一旦信じるしかありません。
共益費の相場について周りに聞き込み
やはり相場を知るにはこれがイチバンです。
そもそも我が家は共益費を月々幾ら払い込んできたんだ?
実はここに答えがありました。我が家は月々の共益費を200€しか払い込んできませんでした。しかし周りに聞いてみると「うちは400€払い込んでいる」や「300€払い込んでいても1,000€ほど追加で払った」などなど。それらを計算してみると、今回我が家が1年間で掛かった総額4,824.12€に非常に近しい数字になります。これで全て納得できました。
なーんだ、やっぱり妥当だったんだねえ
何故我が家の共益費月々払い込み額は200€だったか
これですよ、これ。初めから月々400€払い込んでおけば良かったのに。これについても周りに話を聞いていくなかである事実を知りました。
何だよ随分とアバウトだな!
前住人とは家族構成や生活パターンが全く違うであろうに、これが基本となっている様でした。ちなみにデュッセルドルフでは、駐在員とその家族向けに「共益費の月々払い込み額が割高ではあるが追加請求は無し」で契約をしている日系企業も多いと聞きました。確かに駐在員を抱える企業にとっては固定費用で扱えるメリットは大きそうです。また余談ではありますが、退去時に高額なクリーニング代が発生する事を抑えるために「月に一度ハウスクリーニングを入れる」などをしている場合もあるそうです。
これ、また来年も高額精算ってお話ですか?
いえ、共益費精算を受けて大家さんから「来月から共益費は○€でヨロシク」と言われます。1年間暮らしてみてその家庭の生活パターンでの発生費用が分かるわけですから、ここからはそれに基づいて共益費を月々払い込んでいく事になります。この辺りは電気代の月々払い込み額の決め方と同じ理屈です。
まとめ
纏めます。
・共益費の月々払い込み額が少ない場合は大精算大会で高額な追加支払いを請求される可能性有り!
・感覚的には月々400€払い込んでいれば十分足りそう
ドイツ人って冬でも割りと室内温度上げないって言うよねえ
我が家は部屋の中の温度が割と高め(暖かめ)が好きなのでHeizungのダイヤルも高めに設定していますが、倹約なドイツ人は部屋の温度は上げずに厚着をするとよく聞きます。これは実際にオフィスでも感じる事があり、Heizungのダイヤルを中央の3に設定していてもドイツ人から「暑い!」と言われる事があります。欧米人は体温が高いと言うのもあるかもしれませんが、そもそも暖房の感覚が日本人とは少し違うのかもしれません。
こんなところで本記事は終わりたいと思います。これからデュッセルドルフに限らずドイツで暮らし始める方は、共益費の月々払い込み額の設定値を是非気に掛けてみて下さい。
それでは次の記事をお楽しみに。
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