デュッセルドルフ暮らしに於けるエアコン導入の勧め【年に数回欧州を襲う40℃超えの酷暑とドイツのエアコン事情】
こんにちは、2018年からデュッセルドルフに住んでいるHirofumiです。
暑くなる前にエアコンの記事を書きます。
涼しいお部屋でお昼寝すると気持ちいいよね
欧州の夏と言えば「湿気が無くて過ごしやすい」が定説であり正にその通りなんですが、ここ数年は日本でもニュースとなるように「年に数回40℃超えの酷暑がやってくる」が定番となってきています。これが、本当にアホみたいに暑いです。確かにそれでも湿気がないので、例えば東京の35℃と比べればまだだいぶ程度は良いのですが、ここで一つ想像してみて下さい。
エアコンが無かったら・・・?
無理だね!
始めます。
ドイツのエアコン事情
まずはこれが気になりますね
一般的に言われているのは「欧州の一般家庭でのエアコン普及率は非常に低い」です。私も正にこの様に感じていて、例えばこの記事のアイキャッチ画像のような、日本でも一般的な室内機と室外機を持つ備え付け型エアコンの普及率は、恐らく5%もないと思います。ドイツ人同僚や他の日本人駐在員の方々と話す中で、このタイプのエアコンがアパート若しくは家に付いているという人を聞いた事がありません。
ではオフィスではどうかと言うと、モダンなオフィス(新しい建物)であれば日本の様に空調一括管理もある様ですが、やはりエアコンが無いところがほとんどです。私の勤務先も、冷房用のエアコンを備え付けている部屋は顧客来訪時に使う大きな会議室のみです。社員の各オフィスにはエアコンがありません。
一方でデパートや店舗ではエアコンが普及しています。夏にデパートに入るとめちゃくちゃ涼しいです。この「デパートに避難して通り抜けて行く」辺りは日本と同じですね。
ドイツ人もエアコン買えば良いのにね
こんな話題をドイツ人に振ると、それはそれはもう収拾がつかなくなるので要注意です。やれエコじゃ無いだの電気を食うだの、相手の意見を否定してねじ伏せる事がディスカッションだと思っているドイツ人は全力で否定してきます(悪口じゃないです)一方でエアコンを買った人と話すと「確かにエコでは無いけれど熱中症のリスクの方が〜」などなど、相手に自分を否定する隙を与えないかのように自身の主張や正しさを全力でアピールしてくる人もいて面白いです(悪口じゃないです)
それでも一般的には「ドイツの夏は湿度が低く気温もそこまで上がらないため、エアコン無しでも余裕で生活できる」と言うのが、ドイツでエアコンの普及率が低い理由になります。これは実際にその通りで、夏でも熱波が襲ってこない時は本当にエアコン要らずで快適に過ごせます。ヨーロッパの夏最高説の一つです。一方で、欧州特有の、それもドイツでは特に目立つ「環境意識の高さ」もその理由の一つの様に感じられる場面もあり、また一方で「人体への影響」の観点からの否定的な意見を唱える人もいる様に見受けられます。
我が家でエアコンを導入する事になったきっかけ
今でも鮮明に覚えています。それは2019年の夏、ヨーロッパで迎える初めての夏のことでした。しかも夏至を迎える最高の時期に、まだ6月末にも関わらず熱波の洗礼を受けたのです。
あれは本当に暑かった・・・
この時のことは日本のニュースでも報道されています。
実はこの時休暇をとって南へ出掛けていたんですが、アウトバーンをご機嫌でドライブしている最中に外気温計が40℃超えを示していたり、はたまたスイスでアルプスの麓の街で気温が35℃超えだったりと、それはそれはアホみたいに暑かったんです。
あのー、スイスって涼しいって聞いていたんですけどー
アルプスからの心地良い風を感じながらビールとなるはずが、汗だくの中でのビールがぶ飲みとなりました。
あの時のビール美味しかったなあ
この時に滞在したホテルは勿論エアコン無し、スイスなので当然です。しかしそれはそれは暑い、夜11時頃になってようやく窓を開けられるレベルでした。
ちなみに欧州名物の石の家(コンクリート製)では、家自体の保温性や遮熱性が非常に高いため「朝の涼しいうちに窓を開けてフレッシュエアーを入れ、本格的に暑くなる前に窓を閉める、そしてシャッターも閉める」が定番となっています。日本の木造建築の家で真夏に窓を全て閉めてエアコンを入れなかったら室内が一瞬で蒸し風呂のようになってしまいますが、石の家では夜中の間に冷えた石の家全体がそのまま室内の温度上昇を抑えてくれるので、実は窓を閉めた方が涼しいのです。これには窓の性能の高さ(熱貫流率の低さ)や窓のシャッター機能(屋外に付いている)なども効いています。
しかし我々日本人にとって、そうは言ってもエアコン無しでこの暑さは耐えられない・・・。この旅行の最中に「エアコンが無いと本当に暑くて無理、帰ったら買おう!」と妻@bonbon と合意に至ったわけでございます。
我が家で購入したエアコン
2019年の1回目の熱波を経験後、早速下調べに入りました。この頃Bauhausなどのホームセンターでも取り扱いが増えてきており、エアコンを買って行くドイツ人もちらほら見かけました。入念な下調べ後、我が家では以下のArgo製のスポットクーラータイプ「Argo Relax Style」を購入しました。
これはそもそもどういう構造なんだ?室外機は?
このスポットクーラータイプ、要は「室内機と室外機の一体型」です。室外機から出るあの熱い空気は、専用のダクトを通って窓から外に放出します。この辺りの実際の使用方法やインプレッションは以降で解説します。
スポットクーラータイプにした理由として、備え付けタイプは工事を伴うため大家さんとの交渉が必要でハードルが高そうだなと判断した点が挙げられます。例えば「費用をどのくらいの割合で負担しあって、最終的にはここに置いて出て行く」などの交渉もできるかなと思ったんですが、なかなかめんどくさそうだし時間が掛かりそうだなと。そもそも大家さんがOKと言うかが不明ですし。一方でこのスポットクーラータイプであれば、工事を行うこと無く使用ができ、またいざ我々が本帰国するとなった際には誰かに簡単に譲る事もできるなと思いこのタイプにした次第でございます。
価格は290€、なかなか良いお値段ですが背に腹は代えられません。ちょうどこの頃Amazonで調べていたらこれが比較的安く売っていたのも決め手の一つです。あとはArgoはイタリアやスペインなど欧州の暑いエリアに行くとよく見るブランドだなと知っていたのも理由の一つです。
気になるのは「果たしてこれでお部屋がしっかり冷えるか」でございます。我が家では約35平米のリビングでこのエアコンを使うつもりで買いました。このエアコンの冷却性能には10,000BTU/hと記載があります。見慣れない単位ですが、これはBritish Thermal Unit、英国熱量単位(英熱量)というものです。調べてみると「英熱量は1ポンドの水の温度を華氏度で1度上げるために必要な熱量」と定義されているらしいです、非常にややこしいですが面白いです。一方で、ちゃんとSI単位系でも「2.6kW」と記載があります(以下)
2.6kWで足りるかですねえ
こればかりはなんとも言えないので、参考までに日本のエアコンで近しい出力の物の「○畳用」と言うのを見てみました。しかしこの出力だといいとこ10畳用、また悩み始めてしまいます。
これじゃ全然足りないんじゃないか!?
全然冷えなかったらどうしようと悩みましたが、スポットクーラータイプではこれ以上出力が高いものがあまり無い点、また仮に日本のエアコンで我が家のリビングの広さを当てはめると5kW超えの出力のものが必要となる点、そもそも日本の木造建築とドイツの石の家では保温性が全く違うだろと思った点、などなど、この出力2.6kWが我が家で使うにはベストだろうという結論に至り、購入を決意したわけです。
そしてやってきた2019年2回目の熱波
Amazonで注文後すぐに到着し、エアコンを使うほど暑くはありませんでしたが試し運転をしてみました。するとなかなか冷えるではありませんか!冷風の冷たさ(温度)も出てくる量(体積流量)も十分そうで、これは早く本格的に使ってみたいと、子どもの様にワクワクしながら暑い日を待っていました。
するとその日はそう遠くはなく、なんとエアコンが我が家に到着してから約2週間後にやってきたのです!それも1回目を上回るとんでもない熱波が!この時の事もやはり日本のニュースで報道されています。
ドイツ史上最高の42.6℃!
はっきりと覚えていないんですが、この時は確か40℃超えが3日間以上続いた気がします。ここまで暑い日が続くと石の家の保温性が逆に仇となり、建物全体が熱を帯びてしまい夜の間だけでは冷えなくなってしまうという現象が起こります。この2回目の熱波、本当に暑かったのを覚えています。
しかし我が家ではエアコンが大活躍でした!この時は本当に買ってよかったと心の底から思いました。嫁@bonbon とも「この3日間分だけでも元が取れた気分だね」などと話していたのを覚えています。気にしていた出力も、過多とまではいかないものの十分でした。エアコン本体を24℃の設定にしておけば、外気温40℃前後の中で約35平米の部屋を設定温度付近までは冷やしてくれていました。
スポットクーラータイプは「室内機と室外機の一体型」ですので、室外機から出るあの熱い空気に当たるものを窓から外に放出します。太いダクトが正にそれで、窓には「Window Seal」などと呼ばれる専用のシートを使用します。これはホームセンターやAmazonなどで20€程度で購入することができます。シート自体が窓を半開きにした時に合う形状となっており、意外とこれでほぼほぼ密閉できます。結構優秀です。ちなみにマジックテープでくっ付ける仕様となっているので、窓枠側にもマジックテープを両面テープで貼り付ける必要があります。コレら全てセットになって20€程度で売られています。
おかげさまで快適でしたねえ
ちなみにこのスポットクーラータイプ、使ってみて気づいたデメリットが3点あります。そのデメリットを加味しても総合的には買って非常に良かったと思っているのですが、ご参考のために以下に書き出します。
・音が大きい
・室内が負圧になる
・排水の作業が面倒
「音が大きい」は室外機が家の中にあると思って頂ければ容易に想像できるかと思います。テレビの音を結構上げないと聞こえないレベルです。しかし家の外や隣の部屋からは全く気にならないので、近所迷惑になるということはありません。
次の「室内が負圧になる」ですが、高温側の熱交換器を通す空気に室内の空気を用いそれを外に排気するので、必然的に室内が負圧になります。特に大きな影響はないのですが、我が家では廊下とのドアの閉まりが悪いため勝手に開いてきてしまうという現象が起きました。まあそんなに気にする点では無いかもしれません。
最後の「排水の作業が面倒」が結構気にしなければいけない点です。室外機から水がポタポタ流れ出ているのを見たことがありませんか?これは低温側の熱交換器で空気中の湿気が結露したものですが、このスポットクーラータイプでも例外なく発生します。本体内に水を貯めるタンクが付いており、ある程度水が貯まるとブザーが鳴ってお知らせをしてくれて、手動で排水をしなければならないという仕組みです。これが、思った以上にどんどん貯まります。
我が家ではエアコン自体を植木鉢用の台車の上に載せて位置を少し高くし、内部タンクに貯めずに常に排水させてグラタン用のお皿に貯めていました。貯まったお水はバルコニーの植木にそのままあげる要領です。これが本当に暑い日は15分に1回ほど必要となり、少しでも気を抜くと溢れ出てしまうという感じでした。
これを我が家では「お漏らし」と言うのである
ってかこの排水口の位置が低すぎなんですよ。ここだけがこのエアコンの唯一の不満です。ほぼほぼ本体の最下部に付いています。ここから液体をどうやって他の容器に移せばいいのかって話です。日本人だったらこんな設計しないだろうな〜と、この時ばかりは思ってしまいました。故に植木鉢用の台車の上に載せて位置を少し高くしている次第でございますが、それでもあまり背の高いものには直接貯められず、最終的にグラタン用のお皿に落ち着いたわけでございます。もう10cmほど高さを上げればジョウロなどに直接貯められるような気もするので、今年の夏はModifyしてみようと思っています。
気になる電気代のお話
やはり気になるのが電気代ですが、試算をしてみると「40℃超えの酷暑を快適に過ごすためのお代」としては十分安価かと思います。このエアコンの電力消費量は、先のテクニカルシートに記載の通り「1.0kWh」になります。それを、我が家も契約しているデュッセルドルフの電気屋さん「Stadtwerke Dusseldorf」の最新の電気代「28.60ct/kWh(2021年5月1日から)」に当てはめてみると、非常に掛け算がしやすく「28.60ct/h」になります。
参考記事:デュッセルドルフ在住時に年に1度やってくる電気代精算の手続き記録【2020/2021完全編】
1時間使って0.286€なら全然お安いよね
例えば40℃超えの酷暑の日は、お昼頃エアコンを付けて凡そ21時頃まで使用していました。9時間の使用で電気代は「2.574€」になりますが、この額であの酷暑を快適に過ごせるのであれば安いと言えるのではないでしょうか。またエアコン本体代についても、例えばエアコンを使う暑い日が年に10日間あったとして、3シーズン計30日間使用すれば一日当たり約10€になります。これを先の電気代と合わせると「12.574€/日」となりますが、本節冒頭に書いた「40℃超えの酷暑を快適に過ごすためのお代」と考えればそこまで高額では無いかなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?エアコン欲しくなってきたのではありませんか?
やはり本格的に暑くなる前に買っておきたいものですねえ
サクッと纏めます。
・ドイツ名物石の家であれば出力2.6kW(10,000BTU/h)で35平米を十分冷やしてくれる
・電気代及びエアコン本体代は「40℃超えの酷暑を快適に過ごすためのお代」として考えればそこまで高額ではない
ちなみに40℃超えの酷暑では粉末のポカリスエットが大変役立ちます。日本から何箱でも持ってきたい必需品です。風邪をひいた時にも大変役立ちますし。
さて今年2021年の夏はどのくらい暑くなるのか、また40℃超えの熱波到来となるか、非常に楽しみです。皆さまも熱中症に気をつけて頂きつつ、またこの記事がエアコン導入に於ける参考となれば幸いです。
それではまた次の記事で。
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