ドイツの暖房「Heizung」が暖かくならない時の解決方法
どうも、2018年からデュッセルドルフに駐在しているHirofumiです。
あけましておめでとうございます!
2020年が始まったねえ。そしてドイツの年越し相変わらず酷かったねえ。
2020年なんて遥か先だと思っていましたが、すーっとやって来ました。
また、昨年同様ドイツで年を越したのですが、12/31-1/1の年越し花火には今年も驚かされました。あれはもはや市街戦です。普段ルールで押さえつけられているドイツ人が解放された瞬間のエネルギーの大きさと言うか無秩序感と言うか、あの解き放たれ方は国民性を象徴しているような気がします。
本題「ドイツの暖房「Heizung」が暖かくならない時の解決方法」へ
始めてくれや!
はい!本記事の話題はドイツの暖房システム「Heizung」についてです。ハイツング(ハイツォング)と読みます。日本だと「Central Heating(セントラルヒーティング)」が一般名称でしょうか?
この暖房の仕組みは凄くシンプルです。
・地下室等に設置したボイラーで水を温めお湯にする
・そのお湯を各ラジエーター(ヒーター本体)に送る
・各ラジエーターが室内を温める
・各ラジエーターからボイラーに戻ってきたぬるま湯を再度温め、再度ラジエーターに送る(循環させる)
各ヒーターの温かさの強弱は、トップ画像にあるようなダイヤルで調節します。
ダイヤルを回すと一体何が調整されるの?
ダイヤルを回すことで「室内の設定温度」を調整できます。このダイヤル自体にサーモスタットの機構が組み込まれていて、なんと「電源の要らない自動ON/OFF機構」どころか「流れるお湯の量(体積流量)」まで調整してくれます。もう少し詳しく言うと「室温に合わせて流れるお湯の量を自動で調整してくれる機構」でしょうか。そしてこれが今回のキーポイントにもなってきます(追々)
この「Heizung」が暖かくならないというトラブルがよくあるんですよねえ〜。我が家も経験済みで、オフィスでも経験済みです。でもこれ、ドイツ暮らしあるあるで、ボイラー本体の故障でもない限り自分で対応出来てしまいます。本記事で詳しく書いていきますので、是非最後までご覧下さい!
不具合の種類
種類も何も「暖かくならない」だけじゃないの?
確かにそうなんですが、この「暖かくならない」を詳しく見てみると不具合の原因が見えてきます。それでは以下で各パターンと対応方法を見ていきましょう!
特定のラジエーター(ヒーター)のみ温かくならない場合
「他のラジエーターは暖かいけれど、このラジエーターだけ暖かくならない!」というパターンです。この時に考えられる原因は以下の2つのどちらかです。
・そのラジエーターにだけ温水が来ていない
・そのラジエーターにも温水は来ているが、どこかで詰まっていて流れていかない
この場合前者の可能性は非常に低く、ほとんどの原因は後者です。それも詰まるのはダイヤルで流量設定を調整するバルブの部分がほとんどです。バルブが固着しているためダイアルを全開(5の位置)にしても開かず、そのためお湯が流れずに温かくならないというパターンです。
前者も可能性はゼロとは断言できませんが、ほぼゼロと言えるかと思います。ボイラーからラジエーターまでの管の径は最小でも10mm以上はあり非常に太く、この管の内部に詰まりが起きるほどの異物の堆積は考えにくいためです。但し「配管の最上点で長年エアを噛んでいた」部分などはあり得るかもしれません。
後者の場合の対応方法はすごくシンプルです。
めっちゃ原始的!
もうこれに限ります。我が家でも何度もダイヤルを外しています。なのでダイヤルを留めるナットは、もはや手で外せる程度のトルクでしか締め付けてありません。
以下に写真で示します!
青矢印で指しているナットを緩めるとダイヤルが外せます。プライヤーが必要そうに見えますが、マイナスドライバーとハンマーでも緩めることが出来ます。そんなに強いトルクで締め付けてはありません。
但し!もしその方法で外される際は怪我をしないようご注意下さい!
ダイヤルを外すとこのような棒が見えてくるので、これをグリグリと押したり戻したりを繰り返します。するとあら不思議、固着が解消されてラジエーターがみるみるうちに温かくなっていきます。お湯が流れるかすかな音も聞こえると思います。
問題の本質は解決してないやん。
まあそうなんですが、借りているアパートだし騙し騙し使うって事ですね。我が家も初めてラジエーターが温まらないトラブルが起きて大家さんに問い合わせた時は、翌日インド人の修理のおっちゃんが手ぶらで来て、この方法で修理して得意げに帰っていったというエピソードがあるくらいなので。
ちなみにこのバルブに繋がる棒、奥に押し込んだ状態がOFFで、手前に飛び出ている状態がONの最大(ハンドルで言うと5の位置)になります。ハンドルを外してグリグリしてみた時に「手前側に飛び出てくれば(奥側で固着していれば)」それで固着が解消された事になります。
よく「配管の外側からこのバルブ付近を硬い物でコンコンと叩くと直る場合がある」とネット上で書いてあるのを見かけますが、これはまさに振動でバルブの固着を解消させてあげるという意味になります。ですがなかなか振動だけで固着は解消せず。ハンドルを外してグリグリする方法が間違いないです。
家の全てのラジエーターが温かくならない場合
残念ながらこれはもう完全にボイラーが怪しいです。ボイラーを確認しなければなりません。
一軒家であれば当然その家専用のボイラーがあるわけですが、アパートの場合は以下の様にいくつかパターンがあります。
・アパートの建物全体を(全ての部屋を)一つのボイラーで管理
・各部屋(各世帯)それぞれでボイラーを所有
・各フロア(階段の左右2部屋/世帯ずつなど)などでボイラーを所有
アパートの建物全体を一つのボイラーで管理している場合は、まずは同じ建物に住んでいる他の住人に状況を聞いてみるところからスタートかと思います。やはり同じ状況であれば、ハウスマイスターか大家さんか管理会社にすぐ連絡です。この場合勝手にボイラーを確認したり操作したりする事は出来ないですからね・・・。
ちなみに我が家は上に書いた3番目のパターンで、暖房と温水のボイラーそれぞれを隣の部屋(世帯)と共有する構造になっています。どうも我が家の部屋と隣の部屋の大家さん(所有者)が同じ人のようで、それらのボイラーが我が家の地下室(ケラー)に設置してあります。ですので確認や操作が出来るという良さがあるのですが、もれなく「シャワーのお湯が出ない!」などと隣の部屋の人がいきなり言ってくるオプションも付いてきております。
ボイラーの確認方法
何を確認するんだ?
壊れていたら当然プロに修理して貰うか新品交換して貰うしかないですが、まずは自分で見てみるのも良いかと思います。
但し!明らかにガス臭かったら、電装品には触らずすぐに避難して消防に連絡して下さい!!!
・ボイラーの電源を一度落として再起動しても動き出さないか
・暖房配管内の水量が足りているか(減っていれば補充)
ボイラーが何故か止まっていること、よくあります。特に着火が電子式ではなく「ライターの火程度の大きさの炎が火種として常に燃えているタイプ」のボイラーで、その火種が何らかの理由で消えてしまったためボイラーが燃焼を始められずに止まっていることがよくあります。
我が家は、暖房用のボイラーは幸い電子式で着火するのですが(以下写真中央)、温水用のボイラーは上記の火種式のため(以下写真左側)、ボイラーが止まっていてシャワーが冷たい!温かくない!という不具合がたまに起こります。
欧州では有名なVaillant製のボイラーです。ちなみにドイツの会社です。後ろに見える黄色の配管が燃料のガスの管、緑色がラジエーターへの配管、銀色に見える太い管が排気管です。前面上部の斜めの部分に操作板が付いていて、電源スイッチもそこにありました。ちなみに操作板は「Vaillant VRC Calormatic UBW」という型番でした。かなり古いタイプの様です。このボイラーは暖房用と温水用の両方に使えるタイプですが、今は暖房用としてのみ使われています。その代わりに画像左側に写っている白色のボイラーが温水用として使われています。
「Heizung(ハイツング)」のメンテナンス①
メンテナンスなんて出来るの?
メンテナンスと言っても自分で出来るのは2つのみで、まずは1つ目です。
ボイラーの近くに以下の写真のようなメーターがあると思います。
我が家はかなーり古いタイプのメーターが付いています。単位はkP/cm2という見慣れないヤツ。なんじゃこりゃと思い調べてみたら、kP/cm2はドイツ特有の圧力を表す非SI単位で、kgf/cm2と同意だということが分かりました。ドイツではその昔、kgf(キログラム重)に当たるモノをkP(キロポント=kilopond)と呼んでいたそうです。一つ勉強になってしまいました。
メーターには2.0±0.5kP/cm2が適正範囲の緑色となっています。ですので我が家では2.0kP/cm2を狙って水を補充しています。
ちなみに上の写真だと1目盛り分2.0kP/cm2を下回っていますが、約1年前にピッタリ2.0kP/cm2に補充したので、約1年で0.1kP/cm2低下したことになります。配管内で気化したのか、どこかで漏れているのか、謎です。
2kP/cm2は2kgf/cm2と同意なので、SI単位系で言うと196kPaになります。ちなみに他の非SI単位系のBarで言うと2Barです。イメージ的には自動車のタイヤの空気圧より少し低いくらいなので、そこそこの圧力かなと思います。
ウンチクはいいから次へ進んでくれや
うっす!ボイラーの裏側から出ている配管のどこかにこのようなバルブが付いた口があるはずです。
そして周りの特に水道周りを見渡すと、この口にピッタリ合う口のホースがあるはずです。
これを給水口にセットします。ナットになっているので、手で締め付けられる力の範囲で付ければOKです。
これでバルブを開いて水道の蛇口を開いて給水すればOKです。恐らくそれぞれの暖房システム(ボイラー)で水圧の狙い値があって、その適正範囲が表示されたメーターがあるはずです。適正範囲の中央値を狙って補充すれば良いかと思います。
水が余りに減っているといわゆる「空焚き」状態となりボイラーが壊れることもあるそうです。火事の原因にもなり得るので怖いですよね・・・。我が家はこの地下室(ケラー)に洗濯機も置いている構造なので、ほぼ毎日このメーターを確認しています。
「Heizung(ハイツング)」のメンテナンス②
2つ目は何なんだい?
何故かエアーを噛むんですよね。ボイラーで沸騰するほどの温度まで加熱しているとは考えられない上、上記の通り2kgf/cm2も圧力を掛けているのにも関わらず、何故かエアーを噛みます。
なので随所にエアー抜き用のバルブが設置されています。特に各ラジエーターには1つずつ付いています。
こんな感じでラジエーター近くの壁から飛び出ていたり、
もはや壁がぶっ壊れていたり(でたらめです)、
ラジエーター本体に付いている場合もあります。
特に「このラジエーターのみ温まり方が弱い」や「このラジエーターのみ小川のような水の流れる音が聞こえる」場合はエアーを噛んでいる可能性大です。我が家も居間に、エアー抜きが上手く出来ず常にせせらぎの様な心地良い音を出してくれるラジエーターが一つあります。
このバルブの頭は四角形(正方形)なんですが、このネジを緩める道具の事を「Entlüftungsschlüssel」と言うそうです。Bauhausなどのホームセンターで2€程度で売っています。一家に一個は置いておきたいアイテムです。
それで、どうやってエアーを抜くの?
めちゃくちゃシンプルです。
緩めると最初「プシューッ」という音と共にエアーが抜けてきます。その後、エアーとお湯が混ざった状態でブクブクと出てきます。そしてエアーが抜けきるとお湯しか出なくなるので、そこまできたら完了です。
ビシャビシャになっちゃうやん!
そうなんですよ。なので、バケツや古タオルなどを下に置いて作業しましょう。あと、地味にお湯が熱いので気をつけて下さい(火傷するほどではありませんが)
また、エアー抜きをする際は温度調整ダイヤルを最大の5の位置にしてバルブを全開にしておいた方が早く作業が終わると思います。
まとめ
サクッとまとめをよろしゅうね
・暖房システムの水圧(水量)は適正値を保つよう随時確認
・適宜ラジエーターのエアー抜きが必要
こんな感じでしょうか。これからまだまだ寒い時期が続くので、「Heizung」のトラブルが起きた方の参考にして頂ければ幸いです。
それでは今回も最後までご覧頂きありがとうございました。次の記事をお楽しみに!
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